● 2006活動報告
◆ 労働条件改善の取り組み

 三重一般同盟とは、経済闘争(賃上げなど労働条件改善の取り組み)を運動の最大の柱と位置づけ、加盟組合と一体となって推進しています。とくに中小企業労働者は、大企業や公務員に比べ大きな格差がある賃金・一時金・退職金・労働時間などでは、格差の縮小を求める取り組みに全力をあげています。
1.具体的な運動  
@方針の策定と資料の提供
 毎年、賃上げ・一時金闘争前には、加盟組合の要求づくりと労使交渉の参考となる「春季生活闘争方針及び資料」を作成し配布しています。また労働協約や退職金闘争のマニュアルなども策定し加盟組合の取り組みを支援しています。
A研修会の開催
 春季生活闘争前には、学者・エコノミスト、経営者代表等を招き「賃金セミナー」を開催。経済情勢の分析と労使の対応のあり方などを研修しています。さらに労働時間短縮、労働協約・退職金改訂などの問題でも研修会を開き学習効果を高めています。
B加盟組合で説明会実施
 経済闘争のシーズンには、方針や資料の説明、アドバイスを目的に加盟組合の執行委員会などを訪問し説明会を開いています。
C交渉の応援
 労働条件は「加盟組合の労使が自主的に決定する」ことを原則としていますが、交渉が難航したりする場合は、加盟組合の要請に応じ三重一般同盟が団体交渉に参加し応援することもあります。

2.運動の実績
 2006年度の賃上げ結果は前年実績を上回りましたが、主要企業の妥結額で5,661円、率で1.79%と、前年より額で239円、率で0.08ポイントと微増に止まりました。
 三重一般同盟の妥結は11組合の単純平均で4,920円(2.08%)となり、昨年実績を額、率とも若干上回り、率では世間水準と遜色ない賃上げを獲得しました。しかし、大企業と比較すると1,000円程度の開きがあり、06春季生活闘争でも格差是正の取り組みは不本意な結果となりました。

<2006春季生活闘争の集計>
集   計 2006妥結額(率) 2005妥結額(率)
 主要企業(厚生労働省) 5,661円 (1.79%) 5,422円 (1.71%)
 中小企業(厚生労働省) 3,587円 (1.47%) 3,359円 (1.37%)
 三重一般同盟 4,920円 (2.08%) 4,550円 (1.90%)



◆ ◆雇用安定・経営対策の取り組み

1.「一流企業」をめざす取り組み
  よい労働条件を生む源泉は、企業の体質にあり企業規模の大小ではありません。しかし、一流といわれる中小企業は極わずかで圧倒的にその地位は大企業が占めています。一般的に中小企業は生産性が低いと評されていますが、一部設備投資などで遅れは見られるものの生産性が極端に劣っていることはありません。中小企業の儲からない最大の理由は大企業を主とする親会社、関連会社、取引会社との関係にあります。それら公正取引上の問題解決に当たっては会社間協議や政策に委ねるものの、企業の業績を向上させるため労働組合が結束して協力していくことが重要です。
 生産性を高める運動に労働組合全体として取り組むべきであり、計画段階から参画し、目標達成には全組合員の協力が不可欠です。生産性の成果は組合員への分配となり労働条件の向上に結びつくはずです。内にあっては立派な労働条件を確保し、対外的にはユーザー(クライアント)から信頼される企業こそ「一流企業」で、規模の大小ではないはずです。自分の働く会社が名実とも「一流企業」となるよう労働組合・組合員の意識改革をはかり生産性運動を邁進しています。

2.経営のチェック機能強化

 続出する企業不祥事は、その企業の信頼を失墜させるだけでなしに、従業員の雇用や労働条件に反映され大きな犠牲がおこっています。CSR(企業の社会的責任)やコーポレートガバナンス、コンプライアンスなどを無視し「儲け第一主義」の暴走が後を絶たない事情には、わが国の企業にはチェックする体制が欠如していると指摘されています。本来ならチェック機能を備える労働組合が果たすべき役割であるのですが残念ながら傍観者的立場で、組合員から犠牲者を出す結果となっています。
 組合員を守り悲惨な状況を未然に防ぐためには、労働組合の経営・生産に対する監視・チェックが不可欠です。本年度以降は、労働組合内で情報が収集される体制を築き企業に対し問題点を明らかにさせる取り組みを進めるとともに、可能な限りディスクロージャー(経営開示)をおこなうよう要請し、労使協議会(経営協議会)の開催頻度を高め、最低月1回は定例開催ができるようにしていきます。
 三重一般同盟では、役員研修会などで「経営協議の在り方」を指針として提起し、経営問題協議への労働組合のスタンス、コンプライアンス対策の強化などに取り組んでいます。


3.2007年問題への対応
 本年度から団塊世代の大量退職が始まり、これまでと一転し人手不足時代に突入する気配があり、大企業でも積極的な求人活動を開始しています。また、団塊世代のリタイアは、技術や管理のリーダー的存在を失うことにつながり、仕事を継承する面でも不安を抱えることになります。
 人材の確保を可能とするため、企業の体質を強化していくことが求められますが、これには世間と遜色のない労働条件の整備と、福利厚生等の働く環境を整備することが緊急課題であり、労働組合として積極的な対応をしていかなければなりません。同時に、企業の人件費コスト削減により、ここ数年で急激に増加したパートや派遣労働者のモチベーションを高めていくため正社員化を促進していく取り組みが必要といえます。正社員比率の向上を含め、企業内で定員管理を明確にするよう求めていくこと、併せて定年退職後の雇用継続についても、現状を上回る条件を確保しなければなりません。
 技術の継承問題では、教育機会を増大するよう要請し団塊世代のリタイアに対応できる後継者を育成できるよう働きかけていきます。

4.労働協約の完全締結と改訂
 安定した労使関係の確立をはかるためには、労使間のルールを定めた労働協約の締結が不可欠です。労働組合は会社との間で労働協約を結ぶことが最も重要な任務であり、賃金交渉も労働協約の一部分でもあるため、労働条件全般が労働協約によって決められているということを再認識し、労働協約の見直しに取り組みます。無協約組合は、本年度中に締結を目指します。
 協約内容は、労働条件の全てを条項に入れるとともに、組合活動・労使関係にかかわる条項、経営・人事に関する条項を明文化できているかチェックし、改訂作業を推進するものとします。なお、三重一般同盟は標準案(マニュアル)を若干補強し参考資料として提供するとともに、今年度も執行委員会のなかで労働協約についての検討、研究会を開催していきます。


◆ ◆政策・政治活動の推進

1.政策立案能力の強化
 三重一般同盟は、中小企業労働者が安心して働ける環境を整備することを基本とする政策要求をまとめ、推薦議員団を通じて国会、三重県議会にその実現を求めました。
 また、政策提言を単に三重一般同盟の想いだけにとどめず、未組織労働者を含めた全ての中小企業労働者の共通した願いに発展させるため、社会にアピールする工夫をしていきたいと考えています。政策づくりは、中小企業労働者の地位向上、格差解消を中心に現行の制度上の問題点を把握し、具体的な改善策を描く手法で検討していきます。

2.推薦議員団との政策協議開催
 昨年は推薦議員のうち、国会議員2名、県議会議員4名と三重一般同盟執行部および政治委員会メンバーによる政策懇談会を開催しました。 懇談会では、三重一般同盟の政策提言について理解を求めるとともに、それぞれの立場から施策の説明や要望事項の説明がおこなわれました。

3.政治活動の取り組み
 議会制民主主義の尊重を政治スタンスとする三重一般同盟の取り組みは、選挙において代弁者を当選させ議会に反映させることです。基本的には民主党を支持していますが、民主党なら誰でも推薦するわけではありません。県議以上の推薦は、候補者との間で政策的にズレがないか確認し、政策協定を結べる候補を推薦しています。
 本年実施される4月の統一地方選挙及び7月の参議院議員選挙の推薦候補者との間で、政策協定(合意メモ)を締結しました。
推薦候補者は次のとおりです。
 
  ◇三重県知事選挙(告示3月22日・投票4月8日) 野呂昭彦(現)
  ◇三重県議会議員選挙(告示3月30日・投票4月8日)
・桑名市・桑名郡選挙区(定数2名)
・四日市市選挙区(定数7名)
・三重郡選挙区(定数2名)
・鈴鹿市選挙区(定数4名)
・亀山市選挙区(定数1名)
・津市選挙区(定数7名)
・伊賀市選挙区(定数3名)
・名張市選挙区(定数2名)
・松阪市選挙区(定数4名)
三谷哲央(現)
稲垣昭義(現)
舘  直人(現)
藤田宜三(新)
桜井義之(現)
前田剛志(現)
森野真治(新)
北川裕之(現)
山中光茂(新)
  ◇四日市市議会議員選挙(告示4月15日・投票4月22日) 中森慎二(現)
  ◇鈴鹿市議会議員選挙(告示4月15日・投票4月22日) 市川哲夫(現)
 
 
  ◇参議院議員選挙 ・三重県選挙区(定数1名) 高橋千秋(現)
 
7月の参議院選挙では、民主党が勝利すれば参院は与野党逆転が実現でき、政権交代への道を開く極めて重要な選挙となることから従来以上の活動が必要とされます。三重県選挙区では、推薦候補者である現職の高橋千秋氏の再選をめざす取り組みを展開します。


◆ ◆研修・セミナーの開催

三重一般同盟では、毎年いくつかの研修会やセミナーを開催し、知識・情報の修得と資質の向上をはかっています。06年度に実施した内容は次のとおりです。
1.第17期労働学校(06.9.8・9)
 若手活動家の育成を目的とした労働学校は定期的に開催し、本年度で17期目となりました。演習・講義・経験交流などの各課目とも受講生全員が熱心に取り組み、お互いに今後の活躍を誓い合いました。
2.環境問題研修視察(06.10.21)
 環境問題に対し労働組合の立場から、@企業に改善を働きかける。A組合員に対し啓蒙・啓発活動を実施し理解を深める。B職場で従業員のリーダーとして率先垂範できるようにする。C家庭や日常生活の中でも取り組めるようにする。など環境に良い社会づくりの一翼を担いたいとの想いから今回、地球温暖化防止をテーマとする研修と視察を実施しました。
3.役員研修会(06.11.22)
 加盟組合の役員を対象に実施し、退職金制度の改革、労働協約の締結・改訂をテーマに、社会保険労務士・新田記久先生の講演を聴くとともに、ミヤオカンパニー労組・堀内委員長から単組の取り組みについて報告をうけました。
 また、@どうする退職金制度、A結ぼう労働協約、を課題に分科会討議をおこないました。
4.2007賃金セミナー(07.2.9・10)
 加盟組合三役と会社の労務担当責任者を対象に開催しました。セミナーでは、経営コンサルタント・土田勤先生から「新会社法施行等に伴う企業の対応」の講義を受講するとともに、三重一般同盟書記長から「労働組合の07春季生活闘争方針」の説明を受け、その後参加労使で意見交換をしました。
◆ ◆交流会・イベントの開催

1.2007新春旗開き
 1月14日、津市の「ベルセ島崎」において開催。役員9名、AAO・ひまわり役員11名、単組役員35名、役員OB2名、そして来賓21名の計78名が集い、今年の活躍を誓い合いました。後半はAAOとひまわりの進行による単組一芸やゲームをおこない、時間の経つのも忘れるほど楽しい旗開きとなりました。

CHAMPAGNE OPENで勢いよくスタート

AAO・ひまわり企画の「ゲテモノぴったしカンカン」
2.女性委員会「ひまわり」の行事
(1) レディースフォーラム2006開催について
 第16回総会終了後、韓国家庭料理「かや」の店主・金美由紀さんを講師に迎え、チャプチェ、チヂミ、ナムルなどの料理に挑戦しました。
(2) 春のイベント(陶芸教室)開催について
 4月23日、四日市の「美月・陶苑」において開催。伊藤美秀先生の指導で電動ロクロを使っての陶器づくりを体験しました。各自で湯呑みや茶碗・皿など、お気に入りの作品を完成させ陶芸家気分を味わいました。
(3) 研修会&テーブルマナー教室開催について
 6月18日、「フレンテみえ」において開催。三重労働局雇用均等室長の中島則子さんを講師に迎え「セクシャルハラスメントのない職場づくり」をテーマとした研修会と、会場を「ラ・パルム・ドール」に移動し、テーブルマナー教室を開催しました。礼儀作法を身に付けるためのテーブルマナー教室では、レストラン講師による説明とマナー指導を受けました。


3.青年委員会AAOの行事
(1) 研修会の開催について
 第13回総会終了後は元県議会議員・石井三好氏の「私の生い立ちと信条」をテーマとした講義を受ける研修会を開催しました。
(2) AAO主催「Outdoor in Suzuka 2006」の開催について
 5月14日、鈴鹿青少年研修センターと鈴鹿青少年の森公園において開催。第1部は研修センター体育館にてソフトドッジ大会を実施し、スピード感溢れる好ゲームが展開されました。第2部は会場を青少年の森に移し恒例のバーベキューで昼食を楽しみました。
(3) 体験学習「ガラス工芸」について
 7月23日、愛知県瀬戸市のバルト工房において開催。工房は40度近い高温でショックを受けながら、初挑戦となるガラス吹きとコップの模様付けに挑戦。参加者全員が真剣にマイカップの作成にあたり芸術作品を見事完成させました。
(4) 第9回ボウリング大会開催について
 1月28日、津グランドボウルにおいて開催。36名の参加者が所属組合バラバラになってチームを組み、レーン対抗の団体戦と個人戦を競い合いました。


◆ 2006年度活動報告
◆第34回定期大会
 3月11日、ベルセ島崎において開催。2006年度活動報告・会計報告・会計監査報告の報告事項を、満場一致の拍手で承認。続いて、2007年度運動方針案・予算案・役員選出案の議事事項も原案どおり可決承認されました。最後に薮田会長の発声で「ガンバロー」を三唱し、終了した。


 


Copyright (C) 2005 Mie Prefectural Federation of General Workers Unions