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1.2016年度春季生活闘争(賃闘)について
2015年日本経済は消費税増税の反動による一時期の消費低迷からは脱したものの消費拡大にはほど遠く経済成長は足踏み状態を続け景気回復への力強さが見えなかった。2014年から2年連続した賃上げも、消費税増税や円安による物価上昇に追いつかず個人消費を押し上げることができなかった。デフレ脱却のためには賃上げにより将来への不安を払拭し、消費拡大をはかり、景気回復から次の賃上げにつなげるといった好循環を実現しなければならない。2016春季生活闘争は賃上げの流れを継続することはもちろんのこと、労働者の賃金水準の底上げと格差是正のため大幅な賃上げを積極的に求め、家庭や社会の期待に応える闘いであった。また、長時間労働の抑制をはじめとするワークライフバランス(仕事と生活の調和)の実現も積極的にはかっていかなければならない。
私たちの積極的な行動により、今次春季生活闘争は組合員の期待に応えるとともに社会の一員として堂々と正義の闘いを展開した。 |
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(1) 2016春季生活闘争方針の決定
組合員の生活水準向上と格差是正をはかることを基本とした、三重一般同盟2016春季生活闘争方針を第8回執行委員会(2016.1.10)で決定した。
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@要求基準
賃上げを継続し、拡大を続ける大手企業と中小企業の格差是正を積極的に求めていくため要求基準を率ではなく金額で要求することとした。
賃上げの要求基準を「すべての組合で12,500円以上(組合員平均)」として要求する。
賃金の底上げをはかるため初任給の2%程度の上昇を目指して、到達目標についても次のとおり定めた。
18歳(高卒初任給) 168,300円以上
22歳(大卒初任給) 212,000円以上
一時金の要求基準については、月例賃金の増加にウェートを置くため例年どおり年間5.0ヶ月以上(金額で1,500,000円以上)を基準として、前年に要求基準以上の一時金を獲得している組合は実績を踏襲する。
ワークライフバランス前進のため、同時要求として総労働時間短縮を一斉に行う。具体的には所定内労働時間の削減、年次有給休暇の取得促進、サービス残業の撲滅に取り組む。
A闘争体制
デフレからの脱却のため賃上げによる景気回復が社会の要請ではあるが、中小企業を取り巻く環境は厳しい状態が続き賃上げについて慎重な態度である。連合をはじめ労働組合側は賃上げの継続と大企業と中小企業の格差是正を求める強い姿勢で臨んでいくことを確認しており、対決色の強い春季生活闘争となることを覚悟し、可能な限り統一闘争を展開できるようにするため、闘争スケジュールを設定した。
これには3月中決着という世間の流れに歩調を合わせるため、次の日程で臨むこととした。
要求書提出日2月26日、回答指定日3月16日、解決目標日3月28日と定めた。 |
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(2) 闘争の側面支援
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@賃金セミナーの開催
春季生活闘争に臨む情勢の把握と交渉力の引き上げをはかるため、加盟組合三役と企業の労務担当者を対象とした賃金セミナー(春季生活闘争研修会)を、2月5.6日に開催した。セミナーでは、東海財務局津財務事務所
財務課長 加納貴治氏の「最近の経済情勢」の講義を受講するとともに、三重一般同盟から「労働組合の2016春季生活闘争方針」の説明を受け、その後参加労使で意見交換をした。
A賃闘オルグの実施
2016春季生活闘争で「賃闘オルグ」を実施。三役・役員と書記局が加盟組合の執行委員会に出席し、三重一般同盟の方針の徹底を期すとともに、賃闘に向けての情報交換をおこなった。また会議後は単組執行部との意見交換も実施した。 B賃闘委員会の設定
第43回定期大会終了直後、執行委員会で構成する賃闘委員会を設定した。5月に賃闘委員会を開催し、情勢を分析するとともに加盟組合間の情報交換をおこなった。
C情報の発行
加盟組合の闘争状況と、全国台の闘争の流れを速やかに報告し、加盟組合の交渉に役立たせるため「2016春季生活闘争ニュース」を第1号(3月16日)から5号(7月25日)までの間、適宜発行した。
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(3) 闘争の結果
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@要求提出状況
要求は三重一般同盟の設定した統一要求日の2月26日までに2組合が要求提出し、残りの組合では3月4組合、4月2組合の要求提出となった。
要求内容は、三重一般同盟の基準とした12,500円が大部分であった。全体での要求幅は12,000円〜12,5000円、単純平均で12,438
円となった。
A回答状況
1組合が3月末までに妥結、3組合が4月中に有額回答を引き出し交渉を本格化し内2組合が妥結、5月中に解決した組合が3組合、最終決着が6月以降にずれ込んだのが2組合もあるなど交渉・解決のテンポに改善が見られなかった。
B集計結果
2016年の賃上げ結果は前年実績を下回り、主要企業の妥結額では6,639円、率で2.14%となり、前年より額で728円、率で0.24ポイントマイナスとなった。
三重一般同盟の妥結は6組合単純平均で4,917円(1.96%8組合単純平均)となり、前年実績を額で926円下回る結果となった。賃金水準の底上げ値と格差是正の獲得を積極的に求める闘いを展開したが大幅な減額となり2016春季生活闘争の取り組みは不本意な結果となった。 |
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<2015春季生活闘争の集計> |
集 計 |
2016妥結額(率) |
2015妥結額(率) |
主要企業(厚生労働省) |
6,639円 (2.14%) |
7,367円 (2.38%) |
中小企業(都道府県) |
4,651円 (1.83%) |
4,702円 (1.87%) |
三重一般同盟 |
4,917円 (1.96%) |
5,843円 (2.11%) |
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2.2016年度一時金闘争について |
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(1) 夏期一時金闘争
2016年度夏期一時金闘争は、2016春季生活闘争において賃上げが前年実績を大幅に下回ったなか、賃上げでの不足分を補い年間賃金確保のため昨年を上回る結果を出すことが求められる情勢下で闘争は推進された。われわれは、長きに渡り低下した賃金水準の回復と世間並の年間賃金への増額を目指し、全精力を結集し闘争を展開した。
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@闘争方針の策定
2016春季生活闘争方針を基準に、要求基準、闘争日程等の2016年度夏期一時金闘争方針を次のとおり第2回執行委員会(2016.5.18)で決定した。
要求基準を「基準内賃金の2.5ヶ月以上、金額で750,000円」とする。
闘争日程は、統一要求日5月25日、回答指定日5月31日と定め、早期解決を目指し解決目標日6月15日として短期決戦に備える体制を確立した。
A要求提出状況
6月上旬までに大部分の組合で要求提出を完了。多くの組合で三重一般同盟基準の「2.5ヶ月」を上回る要求となった。
B闘争結果
賃上げの状況から厳しい闘争が予想されたが、経団連の夏期一時金妥結状況は引き続き業績が好調なことから、賃上げが下落したのに反して1.5%程度前年を上回った。三重一般同盟では賃上げと同時に年間で要求した2組合が決着した。1組合が満額回答を引き出したが1組合が賃上げに重点を置いたため微減ではあるが前年を下回って妥結した。夏期に単独で交渉した組合では、一部組合を除きほぼ前年並みかそれ以上で妥結した。6組合の妥結額平均は566,454円(前年対比では8,753円減)、妥結月数では算出できる組合単純平均で2.25ヶ月に終わった。大企業の夏期一時金が増加したなか、三重一般同盟の妥結平均額が微減ではあるが前年を下回る結果となった。賃金水準の回復と年間賃金確保を目指した各組合に今後一層の奮闘を促したい。 |
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(2) 年末一時金闘争
2016年末一時金闘争は多くの大企業が円高により業績を下方修正するなか、景気回復が踊り場を迎え、世界情勢の先行きへの不安が払拭されない情勢下で迎えた。そのため、われわれは、生活の維持向上を求めて年間賃金を引き上げ、格差是正に向け精力的な取り組みを展開した。その結果、前年実績をやや上回って妥結することができた。
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@闘争方針の策定
2016春季生活闘争方針を基準に、要求基準、闘争日程等の2016年度年末一時金闘争方針を次のとおり第5回執行委員会(2016.9.28)で決定した。
要求基準を「基準内賃金の2.5ヶ月以上、または、750,000円」とする。
闘争日程は、統一要求日10月21日、回答指定日10月28日、解決目標日11月4日と定め、早期解決を目指すこととした。
A要求提出状況
要求は11月上旬までに出揃い提出を完了した。
要求内容は年末一時金を単独で闘った組合で、三重一般同盟の要求基準「2.5ヶ月以上」に対し単純平均で2.61ヶ月となり多くの組合で基準を上回る要求となった。
B闘争結果
年末一時金闘争の妥結結果は、大企業では円高による業績の下方修正や経済の先行きへの不安がみえるなか、昨年とほとんど変わらず横ばいであった。
三重一般同盟の妥結は集計のできる組合の単純平均では、妥結額平均が590,021円、月数で2.36ヶ月となり、金額、月数ともに、前年を上回る結果を残せたことは各組合が健闘した結果と評価したい。ただ年間では残念ながら金額、月数ともに微減となる結果となった。、大企業が獲得した金額水準からすると、今期の夏期・年末一時金でも格差是正には遠くその思いからすると満足できるものではなかった。 |
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3.退職金と労働協約の整備について |
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秋季生活改善闘争期間に10〜11月を設定し、@退職金水準の引き上げ、A労働協約の締結・改訂を柱とする「2016年度下期経済闘争(秋闘)方針」を策定し、闘いを推進した。
退職金の引き上げについて各組合に長年続けているが結果のでない到達目標1,500万円を今年度中に達成する取り組みを指示した。
労働協約の締結・改訂については、最近の法改正への対応、改訂見直しの重要性、各種社内規定との整合性などに留意し、労使交渉を進めるよう加盟組合に指示した。 |
4.三重県最低賃金の改正について |
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零細未組織労働者の賃金に大きな影響力をもつ最低賃金が、三重県最低賃金審議会において審議され、下表のとおり発行された。三重県最低賃金(地域最賃)は昨年に引き続き改定され、産業別最賃も全産業で改定された。しかし、引き上げ金額は地域最賃18円(2.33%)となり、長年据置かれていた鋳鉄鋳物や一般機械は三重県最低賃金(地域最賃)まで引き上げられ、その他の産別最賃も14円〜15円の引き上げとなったが今年も小幅に止まり抜本改正にはほど遠い状況である。 |
5.2017年度春季生活闘争対策について |
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(1) 賃金セミナーの開催
春季生活闘争に臨む情勢の把握と交渉力の引き上げをはかるため、加盟組合三役と企業の労務担当を対象とした賃金セミナー(春季生活闘争研修会)を2017年2月3日に開催した。セミナーでは三重労働局
雇用環境・均等室 コンサルタント 森本利彦氏から「ワークライフバランスと長時間労働等の見直し」について講義がおこなわれた。その後、三重一般同盟・
田中書記長から春季生活闘争の取り組みについて説明をおこない、加盟組合における交渉の 進め方等の参考とした。
(2) 2017春季生活闘争方針の策定
加盟組合の要求づくりのベースを提起する目的で、2017春季生活闘争方針を第8回執行委員会(2017.1.15)に決定し、全組合に示達した。方針の柱は、@賃金の底上げと格差是正、A中小企業の賃上げで個人消費拡大、B定期昇給分の確保と定期昇給制度の確立、Cワークライフバランスの実現、を基本とし、物価上昇と社会保険料の負担増に賃上げが追いついていない状況で、実感できる大幅な賃上げと格差是正の積極的な取り組みを求めるものとなっている。詳細は、別掲の「2017春季生活闘争方針」を参照のこと。
(3) 賃闘オルグの実施
2017春季生活闘争でも「賃闘オルグ」を実施。今回は三役と書記局が中心となり、加盟組合の執行委員会に出席し、三重一般同盟の方針の徹底を期すとともに格差是正の取り扱いなどの情報交換をおこなった。また会議後は単組執行部との意見交換も実施した。 |
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